原発事故のあと
書店には、その手の本がずらりと並ぶようになった
そのなかで
「原発文化人50人斬り」佐高信著 毎日新聞社 1500円
ISBN978-4-620-32067-0
というのを買って読んでみた
原発問題は深い
今は、それ以上の言葉が見つからない
逃避する訳ではないけれど
次は、全く毛色の違う本を読む事にした
「画商デュヴィーンの優雅な商売」
S・N・バーマン著 木下哲夫訳 筑摩書房 定価1960円
ISBN4-480-83103-7
古書店フェアで、630円で購入したもの
古書店等で、気が向くと数冊買ったりするので
読むのが追いつかず
常に、積んである本が数冊ある
そのなかの1冊だった
そういえば
「画商」と「優雅」という言葉に興味を持って買った本だった
アメリカの20世紀初頭の
栄華を極めた頃の
夢のような話で
気が滅入ることの多いこの時期に
この本に目がとまって良かった
あらためて表紙カバーについている帯を見ると
「億万長者を手玉にとった男」!とある
そして
読んでいくと
これもまた
別世界の話とはいえ奥深いものだった
今では美術館へ行かなくては
観る事が出来ない
あるいは
そういう展覧会開催がなければ
観る事が出来ない
そんな名画といわれるものを
かつてのアメリカの富豪は自分の大邸宅で楽しんでいた!
アメリカの当時の成功者が求めていたものは
そういう芸術品を通して
その先にある高尚ななにかだったのかもしれない
そういう気持を察したデュヴィーンというイギリスの画商が
ヨーロッパの貴族が放出する絵画などの美術品を一括購入しながら
アメリカの富豪に販売しつつ
大邸宅の調度品の全てに始まり
その考え方まで
今で言うならば
トータルコーディネイトしていく
その一貫した哲学とも言える
画商道が見事で
勉強にもなった
これまで生きてきた世界のなかで
魅力に溢れた美術家や芸術家、経営者に多く出会っている方だと思っているし
型破りな人柄だと思った人も多い
けれども
このデュヴィーンのそれは
あまりにもスケールが違う
すごい時代にはすごい人が居るものだと思う事しきりだった
「訳者あとがき」(274頁~)に
「アメリカでは、美術に関心を持つ人で本書のことを
知らない人はまずいないでしょう。」(275頁)とあった
美術に少々なりとも関わっている身として
遅まきながら、この本に出会って良かった